戦国時代以前には本陣とは戦場において大将の位置する本営を意味したが、戦争が終わる江戸時代になると本陣は大名等の格式が高い者が宿泊する所を意味するようになった。本陣や脇本陣は天皇の勅使、公家、参勤交代の大名行列、旗本、幕府の役人などが宿泊する宿場に設置された宿である。特に本陣は脇本陣よりも格式が高い。通常は大名は本陣に宿泊するが、大きな藩で本陣だけでは泊りきらない藩や、鉢合わせになった場合には、格式の低い方の藩の宿舎として脇本陣が利用された。大名間の序列が厳密に決められていた江戸時代には、最初に宿泊していた序列が低い藩が、後からやってきた序列が高い藩に本陣を譲って脇本陣に移動することも多かった。通常は本陣や脇本陣に何日も宿泊することはなかったが、例えば東海道の大井川のような渡し舟による移動が強いられていた川では、大雨による川の増水などで何日も宿泊することになった。本陣や脇本陣に指定されると、宿の主人は苗字帯刀を許され、門や玄関、上段の間等を設置することができた。

名前	街道名	宿場名	本陣/脇本陣
旧滝沢本陣横山家住宅	白河街道	滝沢口	本陣
旧鯖波本陣石倉家住宅	北陸街道	鯖波宿	本陣
旧小諸本陣	北国街道	小諸宿	本陣
林家住宅 (脇本陣奥谷)	中山道	妻籠宿	脇本陣
旧太田脇本陣林家住宅	中山道	太田宿	脇本陣
旧名手本陣妹背家住宅	大和街道 (紀州街道)	名手宿	本陣
旧矢掛本陣石井家住宅	山陽道	矢掛宿	本陣
旧矢掛脇本陣高草家住宅	山陽道	矢掛宿	脇本陣
木幡家住宅 (八雲本陣)	山陰道	宍道宿	本陣